Nスぺ「人体」腎臓
- 2017/10/10
- 12:05
NHKスペシャル「人体」
第一集 「腎臓が寿命を決める」 要約
はじめに
腎臓は1日に180ℓの尿(原尿)を作るとともに
全身の臓器に対し、メッセージを伝える物質を
出し続けている。
腎臓のパワーを生かすことで、様々な病気の
治療に革新が起きている。
さらに、健康長寿のカギを握るある物質を調節
していることもわかってきた。
いま世界中の科学者が熱視線を送る、注目度
ナンバーワンの臓器が腎臓なのだ。
腎臓はスーパースター
腎臓が尿を作るだけの臓器と思ったら大間違い。
体の中に広がる巨大な情報ネットワークの要と
して、脳、心臓に全く引けをとらないたくさんの
仕事をしている。
腎臓を鍛える?
(腎臓の働きの一例)
日本水泳チームの高地トレーニングの紹介
酸素が欲しい
酸素の薄い高地で体の中の酸素量を測定すると
酸素飽和度(血中の酸素割合、正常値96~99%)
が80%台に低下する。
しかし、2週間後90%台に回復する。 (高地順応)
このとき機能したのは、酸素を取入れる肺?
それを全身に送る心臓?
いえ、鍛えられたのは腎臓でした。
腎臓が出すメッセージ物質 (エポ)
高地で酸素が足りなくなると、腎臓が反応して
[酸素が欲しい]と伝えるメッセージ物質のエポ
を放出する。
エポは血液の流れに乗り全身に広がる。これを
受取るのは骨で、骨の中にエポが入ると酸素を
運ぶ赤血球の増産が始まる。
赤血球が増えると、全身の筋肉により多くの
酸素がいくため持久力も上がる。
腎臓は、日々の生活の中でもエポを出し続け
全身の酸素濃度を制御している。
腎臓がエポを作れなくなると、重度の貧血に
なる。
ターゲットは高血圧
(さらなる腎臓の働き)
脳卒中や心筋梗塞の原因にもなり、世界で
10億人以上が悩まされている高血圧
重度の高血圧では、何種類もの降圧剤を服用
しても効果がないことは珍しくなく、現在の
医療の限界とされる。
腎デナベーション手術
重症の高血圧を治す画期的な治療(外科手術)
が始まっている。
カテーテルを太腿の血管から入れ腎臓へ導き
血管の内側から熱を加えて神経の一部を切る
腎臓の手術で血圧が下がるわけ
実は、腎臓は血圧を制御するメッセージ物質
(レニン)を全身に送っている。
レニンの放出で全身の血管に変化が起こり
血圧が上がる。
レニンの量を変化させ、血圧を絶秒に制御する
が、高血圧患者の多くではレニンを出しすぎて
いることがわかってきた。
それで、手術で過剰なレニンの放出を引き起こ
す交感神経からの刺激を絶つと、血圧が下がる
こともわかってきた。
腎臓は血液の管理者
心臓の送り出す血液のおよそ四分の一は腎臓に
いっている。
腎臓は、血液中の様々な成分(塩分、カルシウム
マグネシウム、カリウム、リン、水素イオン、尿酸)
の調節をしている。
腎臓の血液再吸収システム
糸球体の働き
腎臓には血液から尿をこし出す場所(糸球体)が
ある。
糸球体は直径およそ0.2ミリ、複雑に絡み合った
血管のかたまりで一つの腎臓に100万個あると
いわれる。
糸球体はあくまで一次フィルター的役目であり
個別の成分の選別再吸収は、この先で行われる
ことになる。
微絨毛の働き
原尿が通る管(尿細管)の壁にはびっしり細かな
毛(微絨毛)が生えている。
ここで、体に必要な成分だけを選別して血液に
戻す作業が行われる。
微絨毛一本一本に様々な成分を調節するポンプ
のような装置が付いていて、ポンプごとに吸収
する成分が決まっている。
こうした無数のポンプを巧みに操り血液に戻す
量を絶妙に変化させている。
注:再吸収の量は腎臓だけの判断で決めている
訳ではなく、全身を飛び交う様々な臓器からの
メッセージを読み解いて決めている。
例えば、心臓から疲れた時に出すメッセージを
受取ると、腎臓は塩分の再吸収を減らし体から
塩分を排出する。
塩分が減れば血圧が下がり心臓が楽になる。
腎臓が寿命を決める
動物にはほぼ決まった寿命がある。 ネズミは
おおよそ3年、羊はおおよそ20年、ゾウは70年
寿命と体の大きさを見ると体の大きい動物ほど
長生きといえる。
しかし、例外の動物たちもいる。
ハダカデバネズミ28年、コウモリ30年、人間75年
なぜ、これらの動物は長生きなのか?
この謎を解くカギとして、血液中のある成分が
注目されている。
長寿のカギを握る物質リン
それは、腎臓が調節する血液成分の一つリン
リンが少ない方が長寿となる。
リンは、肉やトマトなどに含まれる重要な
栄養素であり、血中のリンが足りないと様々
な病気(呼吸不全、心不全、骨軟化症、くる病)
を発症する。
しかし、多すぎると老化を加速させてしまう
ことがわかった。
リンが老化を加速させるメカニズムは、現在
解明途中だが、血中のリンが増えると血管の
内側に石灰化現象が進み、全身の血管が固く
なることが一因とされる。
リンの量を絶妙にコントロールしている腎臓
だが、この時受けるのが骨からのメッセージ
骨は体内のリンの貯蔵庫として、その量を常に
監視している。リンは足りているという骨から
のメッセージを受取ると、腎臓はポンプを停止
してリンが増えすぎるのを防ぐ。
腎臓の調節するリンが多すぎると、骨粗しょう症
になったり、血管に石灰が付着して動脈硬化をき
たす。
腎臓の働きが落ちると老化が加速する。
逆を言えば
腎臓が健全なら寿命が延びる。
腎臓は多臓器不全の引き金
世界の医療現場では、腎臓の状態を常に監視
することの大切さが叫ばれ始めている。
急性腎障害(AKI)は腎臓の機能が急速に落ちる
ことをきっかけに多臓器不全を起こし、生命に
係る深刻な状態を引き起こす。
なぜ、腎臓以外の病気の患者まで腎障害を起こ
すのか?
腎臓以外の病気でも、その影響は腎臓に波及し
てくる。 例えば、心不全になると流れてくる
血液が減る。すると常に大量の血液を必要と
する腎臓は大きなダメージを受ける。
同様に、腎臓は他の臓器とも深く関わってい
るので、どこが悪くなっても腎臓に悪影響が
出ることがわかってきた。
この連関ゆえに事態はさらに悪化する。
ネットワークの要である腎臓がダウンすると
今度は、全身の臓器にはね返ってくる。
こうして起こるのが多臓器不全、わずか数日
で容体が悪化して命を落とすこともある。
急性腎障害は世界的な問題
これまで単に多臓器不全といわれ亡くなった
多くのケースで、腎臓が引き金になっていた
可能性があるという。
腎臓を守りさえすれば、救えたかもしれない
命が数多く失われたこともわかってきた。
どうすれば、命を守ることができるのか?
ある対策が劇的な効果を発揮している。
薬を止める。
普段なら飲んだ方がいい薬も、腎臓が弱って
いる時は一旦止める。
大量の血液が流れる腎臓は人体で最も多くの
薬に晒される場所でもある。
また、複雑で精緻な仕組みゆえに薬からの
ダメージを受け易い宿命を背負っている。
医療の新たな道
腎臓を守る医療は日本でも始まっている。
京都大学では、腎臓専門医が新たな取り組みを
始めている。腎臓以外の病気の治療に積極的に
関わり、主治医と連携し使う薬の量などをきめ
細かく調節する。
人体をネットワークととらえ直したことで
医療の新たな道が見えてきたのだ。
感想
腎臓については、最近のヤフーニュース
朝日新聞デジタルで「日本人は、欧米人より
腎機能が弱く慢性腎臓病になりやすい」
というような記事もありました。
薬の服用を含め、腎臓に負担をかけないよう
生活習慣に気をつけねばと思いました。
なお、日本人が腎機能が弱いのは、体格、腎臓
ともに小さいためのようです。
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第一集 「腎臓が寿命を決める」 要約
はじめに
腎臓は1日に180ℓの尿(原尿)を作るとともに
全身の臓器に対し、メッセージを伝える物質を
出し続けている。
腎臓のパワーを生かすことで、様々な病気の
治療に革新が起きている。
さらに、健康長寿のカギを握るある物質を調節
していることもわかってきた。
いま世界中の科学者が熱視線を送る、注目度
ナンバーワンの臓器が腎臓なのだ。
腎臓はスーパースター
腎臓が尿を作るだけの臓器と思ったら大間違い。
体の中に広がる巨大な情報ネットワークの要と
して、脳、心臓に全く引けをとらないたくさんの
仕事をしている。
腎臓を鍛える?
(腎臓の働きの一例)
日本水泳チームの高地トレーニングの紹介
酸素が欲しい
酸素の薄い高地で体の中の酸素量を測定すると
酸素飽和度(血中の酸素割合、正常値96~99%)
が80%台に低下する。
しかし、2週間後90%台に回復する。 (高地順応)
このとき機能したのは、酸素を取入れる肺?
それを全身に送る心臓?
いえ、鍛えられたのは腎臓でした。
腎臓が出すメッセージ物質 (エポ)
高地で酸素が足りなくなると、腎臓が反応して
[酸素が欲しい]と伝えるメッセージ物質のエポ
を放出する。
エポは血液の流れに乗り全身に広がる。これを
受取るのは骨で、骨の中にエポが入ると酸素を
運ぶ赤血球の増産が始まる。
赤血球が増えると、全身の筋肉により多くの
酸素がいくため持久力も上がる。
腎臓は、日々の生活の中でもエポを出し続け
全身の酸素濃度を制御している。
腎臓がエポを作れなくなると、重度の貧血に
なる。
ターゲットは高血圧
(さらなる腎臓の働き)
脳卒中や心筋梗塞の原因にもなり、世界で
10億人以上が悩まされている高血圧
重度の高血圧では、何種類もの降圧剤を服用
しても効果がないことは珍しくなく、現在の
医療の限界とされる。
腎デナベーション手術
重症の高血圧を治す画期的な治療(外科手術)
が始まっている。
カテーテルを太腿の血管から入れ腎臓へ導き
血管の内側から熱を加えて神経の一部を切る
腎臓の手術で血圧が下がるわけ
実は、腎臓は血圧を制御するメッセージ物質
(レニン)を全身に送っている。
レニンの放出で全身の血管に変化が起こり
血圧が上がる。
レニンの量を変化させ、血圧を絶秒に制御する
が、高血圧患者の多くではレニンを出しすぎて
いることがわかってきた。
それで、手術で過剰なレニンの放出を引き起こ
す交感神経からの刺激を絶つと、血圧が下がる
こともわかってきた。
腎臓は血液の管理者
心臓の送り出す血液のおよそ四分の一は腎臓に
いっている。
腎臓は、血液中の様々な成分(塩分、カルシウム
マグネシウム、カリウム、リン、水素イオン、尿酸)
の調節をしている。
腎臓の血液再吸収システム
糸球体の働き
腎臓には血液から尿をこし出す場所(糸球体)が
ある。
糸球体は直径およそ0.2ミリ、複雑に絡み合った
血管のかたまりで一つの腎臓に100万個あると
いわれる。
糸球体はあくまで一次フィルター的役目であり
個別の成分の選別再吸収は、この先で行われる
ことになる。
微絨毛の働き
原尿が通る管(尿細管)の壁にはびっしり細かな
毛(微絨毛)が生えている。
ここで、体に必要な成分だけを選別して血液に
戻す作業が行われる。
微絨毛一本一本に様々な成分を調節するポンプ
のような装置が付いていて、ポンプごとに吸収
する成分が決まっている。
こうした無数のポンプを巧みに操り血液に戻す
量を絶妙に変化させている。
注:再吸収の量は腎臓だけの判断で決めている
訳ではなく、全身を飛び交う様々な臓器からの
メッセージを読み解いて決めている。
例えば、心臓から疲れた時に出すメッセージを
受取ると、腎臓は塩分の再吸収を減らし体から
塩分を排出する。
塩分が減れば血圧が下がり心臓が楽になる。
腎臓が寿命を決める
動物にはほぼ決まった寿命がある。 ネズミは
おおよそ3年、羊はおおよそ20年、ゾウは70年
寿命と体の大きさを見ると体の大きい動物ほど
長生きといえる。
しかし、例外の動物たちもいる。
ハダカデバネズミ28年、コウモリ30年、人間75年
なぜ、これらの動物は長生きなのか?
この謎を解くカギとして、血液中のある成分が
注目されている。
長寿のカギを握る物質リン
それは、腎臓が調節する血液成分の一つリン
リンが少ない方が長寿となる。
リンは、肉やトマトなどに含まれる重要な
栄養素であり、血中のリンが足りないと様々
な病気(呼吸不全、心不全、骨軟化症、くる病)
を発症する。
しかし、多すぎると老化を加速させてしまう
ことがわかった。
リンが老化を加速させるメカニズムは、現在
解明途中だが、血中のリンが増えると血管の
内側に石灰化現象が進み、全身の血管が固く
なることが一因とされる。
リンの量を絶妙にコントロールしている腎臓
だが、この時受けるのが骨からのメッセージ
骨は体内のリンの貯蔵庫として、その量を常に
監視している。リンは足りているという骨から
のメッセージを受取ると、腎臓はポンプを停止
してリンが増えすぎるのを防ぐ。
腎臓の調節するリンが多すぎると、骨粗しょう症
になったり、血管に石灰が付着して動脈硬化をき
たす。
腎臓の働きが落ちると老化が加速する。
逆を言えば
腎臓が健全なら寿命が延びる。
腎臓は多臓器不全の引き金
世界の医療現場では、腎臓の状態を常に監視
することの大切さが叫ばれ始めている。
急性腎障害(AKI)は腎臓の機能が急速に落ちる
ことをきっかけに多臓器不全を起こし、生命に
係る深刻な状態を引き起こす。
なぜ、腎臓以外の病気の患者まで腎障害を起こ
すのか?
腎臓以外の病気でも、その影響は腎臓に波及し
てくる。 例えば、心不全になると流れてくる
血液が減る。すると常に大量の血液を必要と
する腎臓は大きなダメージを受ける。
同様に、腎臓は他の臓器とも深く関わってい
るので、どこが悪くなっても腎臓に悪影響が
出ることがわかってきた。
この連関ゆえに事態はさらに悪化する。
ネットワークの要である腎臓がダウンすると
今度は、全身の臓器にはね返ってくる。
こうして起こるのが多臓器不全、わずか数日
で容体が悪化して命を落とすこともある。
急性腎障害は世界的な問題
これまで単に多臓器不全といわれ亡くなった
多くのケースで、腎臓が引き金になっていた
可能性があるという。
腎臓を守りさえすれば、救えたかもしれない
命が数多く失われたこともわかってきた。
どうすれば、命を守ることができるのか?
ある対策が劇的な効果を発揮している。
薬を止める。
普段なら飲んだ方がいい薬も、腎臓が弱って
いる時は一旦止める。
大量の血液が流れる腎臓は人体で最も多くの
薬に晒される場所でもある。
また、複雑で精緻な仕組みゆえに薬からの
ダメージを受け易い宿命を背負っている。
医療の新たな道
腎臓を守る医療は日本でも始まっている。
京都大学では、腎臓専門医が新たな取り組みを
始めている。腎臓以外の病気の治療に積極的に
関わり、主治医と連携し使う薬の量などをきめ
細かく調節する。
人体をネットワークととらえ直したことで
医療の新たな道が見えてきたのだ。
感想
腎臓については、最近のヤフーニュース
朝日新聞デジタルで「日本人は、欧米人より
腎機能が弱く慢性腎臓病になりやすい」
というような記事もありました。
薬の服用を含め、腎臓に負担をかけないよう
生活習慣に気をつけねばと思いました。
なお、日本人が腎機能が弱いのは、体格、腎臓
ともに小さいためのようです。
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